奇跡の生還

 惑星探査機「はやぶさ」は、2003年打ち上げられ、5年後の2007年帰還の予定だった。しかし数々のアクシデントに見舞われ、予定変更、7年後の2010年6月13日には大気圏突入し、オーストラリアのウーメラという砂漠の地に落下、翌14日にはカプセルの回収に成功した。

 カプセルには、小惑星「イトカワ」のサンプルが、もしかしたら入っている可能性があり、結果が楽しみだった。その後どうなったろう?

 6月14日に回収されたカプセルは、17日午後、オーストラリアから日本へ向けて旅立った。 飛行機は、同日午後11時半に東京・羽田空港に到着した。その後、神奈川県相模原市にある、宇宙航空研究開発機構の宇宙科学研究所に運びこまれた。  

 カプセルの中
 翌、6月18日、宇宙航空研究開発機構はさっそく、エックス線を使った検査を行っている。その結果「はやぶさ」のカプセルには、1mm以上の砂粒や石のかけらの試料は無かった。この報告にちょっとがっかりした人も多かった。

 6月22日、開封作業の準備段階で、外側の容器のふたを開けた際に微量の気体が採取された。容器は宇宙空間では真空状態になるよう設計されており、気体は「イトカワ」で採取した物質の表面から発生した可能性、地球帰還後、大気が混入した可能性、はやぶさ内部の樹脂や金属などから発生した可能性が考えられるという。

 その後、イトカワ表面の微粒子が入っていると期待される内側の容器(直径約 5センチ、高さ約 6センチ)を慎重に分解し、7月上旬には内部を観察、その結果、何と 0.01mmというわずかな微粒子だが、数十個も発見された。しかし、これは着陸時に混入した疑いもあり、まだ「いとかわ」のものかどうかは分からない。今後が楽しみだ。
 
 0.01mm の微粒子
 「はやぶさ」の密閉容器内で見つかった微粒子の光学顕微鏡写真を、宇宙航空研究開発機構が7月5日、公開した。

 これまでのところ、約0.01 mmの粒子が2個確認されているという。ほかに粒子はないか、さらに確認作業を進めている。

 地上で容器を組み立てた際などに混入した微粒子も、100個以上あると推測されている。したがって、この2個がイトカワで採取されたものかどうかは、現時点では不明。今後、電子顕微鏡や赤外線などを使って詳しく調べ、あきらかに地球上の微粒子と考えられるものを取り除いたうえで、9月末頃からさらに詳しい分析を行う。結果が出るのは年末頃になる見込みだ。

 また、この容器の外側でも、裸眼で確認できる最大 1mm ほどの粒子が 10個以上見つかった。こちらは、形や色などから、地球上の物質である可能性が高いという。

 イトカワの試料が見つかれば、太陽系の進化に関する貴重な情報が得られると期待されている。(2010年7月5日  読売新聞)

 新たに数十の微粒子 
 宇宙航空研究開発機構は7月7日、小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰ったカプセルから、微粒子を回収し、記録し始めたと発表した。採取容器の内側のごく一部をフッ素樹脂製のへらですくったところ、新たに数十粒の粒子が見つかった。カプセル全体ではまだ多数の粒子が見つかる可能性が高い。大きさはすでに見つかった粒子と同じ0.01mm ほど。小惑星「イトカワ」で採取できたものかどうかはまだ分からないという。

 宇宙機構は、顕微鏡で観察しながら、回収した粒子を一粒ずつ記録している。地上で紛れ込んだ粒子が多くあると予測されているが、イトカワのものも紛れ込んでいることが期待されている。(asahi.com 2010年7月7日)


参考HP JAXA「
はやぶさ、サンプルコンテナに微粒子確認

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的川 泰宣
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小惑星探査機 はやぶさの大冒険
山根 一眞
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