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 ガンは治る時代になった?
 先端科学技術の応用で、放射線の一種、重粒子線や陽子線などで、ガンは治る時代になった。しかし、すべての人がこの先進医療が受けられるわけではない。設備が十分ではないからだ。治療には、加速施設が必要で、重粒子線は、千葉県の放射線医学総合研究所、兵庫県粒子線医療センター、群馬大学の3か所、陽子線は、福島県、つくば市など5か所に限られている。 

 また、ガンの中にも向き不向きがある。ピンポイントのガンに放射線を照射する治療法なので、転移性のがんや白血病などの全身に広がるがんには効かない。また胃ガンや大腸がんなどよく動く消化器官のがんには向いていない。

 そして、通常の保険診療と費用の扱いが異なる。先進医療は保険対象外のため、患者が全額を支払わなければならないという問題もある。

 先進医療に保険が効かないとは!
 
先進医療とは、大学病院などで実施される先端医療のうち、厚生労働大臣の承認を受けたものを指す。先進医療は、その種別ごとに実施可能な病院が承認されている。本制度は平成18年10月1日の健康保険法の一部改正に伴い、高度先進医療から改編され開始された。

 通常の保険診療と費用の扱いが異なる。通常の保険診療では、食事療養費などの例外を除いて、医療費は全て保険の対象となり、患者は一部負担金(3割分)を支払えばよい。先進医療は通常の保険診療と併用できるが、先進医療部分の費用負担は患者が全額(約250万円以上)を支払うことになっている。

 それにしても有効性が認められながら、保険が効かないのはどうしたわけだろうか?安全性が立証されていないからだろうか?これまでの経過を見ても、陽子線や重粒子線については大丈夫そうだ。ここは一つ、厚生大臣の判断で法改正するなどの英断がほしい。

 先進医療についてはこちらを参考 → http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html

 一般的ながん治療法
 ということで、一般のがん治療に、すぐ重量子線や陽子線を使う治療はしていないのが現状だ。日本人の死因トップはがん。毎年65万人にがんが見つかり、年間35万人以上が命を落としている。今、がん医療の最前線では、どのような診断と治療が行われているのだろうか?

 昨今では自覚症状が現れる前に、早期発見できれば、早期治療によってがんは治るといわれる。早期発見と早期治療こそが、がんに打ち克つための最良の方法であることは、将来においても変わることはないだろう。

 標準治療として第一に挙げられるのは外科的な手術。第二の方法が化学療法で、いわゆる抗がん剤による治療法。第三の方法が放射線治療ということになる。 日本の現状は7から8割が外科的な治療であり、放射線治療は2から3割であるが、アメリカやヨーロッパで多いのは放射線治療で、がん治療の7から8割を占めている。

 優れた陽子線治療
 けれども、そこで行われているのは日本のようなX線治療ではない。虫眼鏡で光を集めるように、放射線を一点に集中させる先端機器が使われている。 こうした放射線治療のなかで、究極のものが”陽子線治療”である。超一流の外科医のメスに匹敵する切れ味と表現されることが多いのだが、体にメスを入れることなく、がんの病巣だけを狙い撃ちし、周辺組織への副作用もない。通院で普段通りの生活をしながらがんを治せる。陽子線治療が”がん治療の理想形”と呼ばれる所以である。

 従来の放射線照射では困難な疾患にも、優れた効果を発揮する。陽子線治療の有効性が確認されている代表的な疾患は、前立腺がん・肝がん・肺がん・頭蓋内病変・頭頚部腫瘍(副鼻腔がんなど)および眼腫瘍(ぶどう膜メラノーマなど)。いずれの疾患も外科手術や従来の放射線では治療が難しかったものである。

 これまでなかなか効果があがらなかったがんに対して、陽子線治療は優れた治療成績を示すことが明らかになりつつある。 各地で臨床試行が実施されるなかで、将来には陽子線治療の適応範囲が拡大されていくことが期待されている。

 重粒子線と陽子線の違いは?
 陽子線ががん細胞を死滅させる能力はエックス線など従来の放射線と同じだが、重粒子線はエックス線や陽子線に比べて、細胞を死滅させる生物作用が優れている。分裂を繰り返すがん細胞に対して、分裂周期や細胞周辺の酸素濃度によってエックス線の効果が弱まることがあるが、重粒子線ではそのような影響をあまり受けない。

 また、重粒子線は細胞のDNAを直接切断するため、深い傷を負ったがん細胞は回復しにくいことがわかっている。重粒子線の生物作用は、炭素イオン線の場合、エックス線に比べて2〜3倍強いと考えられており、これまで放射線治療に抵抗性のがんに対しても有効と言える。

 がんに対する線量集中性に優れる点は重粒子線と陽子線で共通だが、詳しくみると、物質内をまっすぐに進む能力は重粒子線(炭素イオン線)の方が優れているため、深い所では重粒子線の方が陽子線よりもシャープな治療が可能。一方、重粒子線では、陽子線と比べてピークより深い部分で若干線量が大きくなる。

 

参考HP 国立がん研究センター「粒子線(重粒子線)治療」・放射線医学総合研究所「重粒子線とはどのような放射線か

切らずに治す がん重粒子線治療がよくわかる本
辻井 博彦,遠藤 真広
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知っていますか?医療と放射線―放射線の基礎から最先端の重粒子線治療まで
高橋 千太郎,米倉 義晴,辻井 博彦
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